背景
2024年4月以降、建設業も時間外労働の上限規制が設けられる。いわゆる「2024年問題」のあおりをA社も受けていた。現状の工程を大幅に見直さないと、まず規定の労働時間内には収まらない。一方ただ速く、粗雑に施工したのでは不適合施工となり、施工のやり直しが発生してしまう恐れもある。また労働時間の制限だけではなく、若年層の施工者減少による人手不足と技術伝承不安という問題にも向き合う必要があった。S氏は施工管理の担当者として頭を抱えていた。現状の施工で改善できる部分はないだろうか。
課題
パテ充てんはとにかく時間がかかるし、追加の配線があったときには絶望でした
パテ充てんにかかる作業時間は1箇所辺り6分から10分ほどで、施工箇所は大規模な現場だと数百から数千か所に及ぶことがあります。このように、パテ充てんは施工箇所が多いため、膨大な時間を要する作業です。それに加えて、竣工前に追加配線が決まると、全てのパテ充てんを根本からやり直すこともよくありました。
なんといっても「重くて面倒くさい」、作業レベルも均一にならない
作業員の方々は、重い粘土のようなパテを腰元に携えて現場を移動しなければならないため、身体的負荷が大きいのは明らかでした。また同じ作業を何時間も繰り返していると、明確に作業効率が低下していることが見受けられました。区画貫通部をパテで充てんするのは火災時の延焼を防ぐためにも非常に重要な作業だからこそ、S氏は作業レベルにムラが発生しないかを危惧していました。
課題のポイント
1.労働時間減少により、簡単で効率の良い施工方法を検討する必要があった。
2.パテ充てんは職人によって仕上がりがバラバラ。均一な施工品質からは程遠かった。
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